電気料金の安い電力会社としてはENEOSでんきが有名である。関東エリアなら東京電力、関西エリアなら関西電力と比べても、ENEOSでんきは安い料金が設定されている。電力自由化以降も電力会社の変更をしていない人はENEOSでんきに変えただけで、ほぼ100%電気料金を下げられるだろう。ただ、電力自由化により様々な電力会社が参入し、ENEOSでんき以外にも安い電力会社がある。その1つに楽天でんきがある。
使用量や契約アンペアによるものの、楽天でんきはENEOSでんきよりも多くのケースで料金的に安くなる。また、楽天経済圏にて楽天ポイントを貯めているなら、料金的な面で楽天でんきがさらにお得になるだろう。
この記事では電力会社を比較する上で必須の知識となる
▶ 電気料金の計算方法
からENEOSでんきと楽天でんきにおける
▶ 料金
▶ 還元
の比較を中心に
▶ ENEOSでんきと楽天でんきはどちらを選ぶべきか?
まで詳しく述べていきたいと思う。
ちなみに、この記事で紹介するのは「家庭用」のプランであり、飲食店や店舗といった「事業者」向けのプランの比較はしていない。
電気料金の計算方法
電気料金は「単価に使用量をかけた従量料金」+「月額の基本料金」が主で、これに「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と「燃料費調整額」を考慮した額で最終的に決定する。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は1kWhあたり3.36円となっている(2021年5月分から
2022年4月分まで。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価より)。これは電力会社間で差がない。燃料費調整額も大きな調整はなく、使用料金のうち1%弱がプラスもしくはマイナスされる。したがって、従量料金と月額の基本料金が電力会社を比較する上で見るべきポイントになる。
ENEOSでんき電気料金の内訳(料金メニューより)
ENEOSでんきの電気料金について
ENEOSでんきの提供エリア(noe.jxtg-group.co.jp)。沖縄および離島ではサービスの提供をしていない。
ENEOSでんきは
①利用地域
②使用量(3段単価方式)
③契約アンペア
によって料金が変わる。
使用量により料金単価が変わる「3段単価方式」について、ENEOSでんき関東エリア・東京Vプランの料金を例に出すと
120kwhまでは19.88円
120kwhから300kwhまでは24.54円
300kwh以上は26.22円
となっている。
関東エリアの料金(料金メニュー|ENEOSでんきより)
120kWhまでは東京電力の従量電灯B、Cと同じ料金になる。120kWhを越えると、ENEOSでんきの方が120kWhから300kWhで約7.3%、300kWh以上で約14.2%も安くなる。
基本料金は契約アンペア数によって異なる。
ENEOSでんきの割引プラン「にねんとく2割」とENEOSカード・シナジーカード
ENEOSでんきを2年以上の利用で契約すると、適用開始から24ヵ月間、1kWhあたり0.20円の割引が受けられる。3年目以降は1kWhあたり0.30円の割引になる。にねんとく2割を利用するなら、単価に使用量をかけた従量料金も既存の電力会社より安くなる。
さらに、電気料金をENEOSカード・シナジーカードで支払うと、毎月の電気料金が100円割引される。
楽天でんきの電気料金について
使用量により料金単価が異なる「3段単価方式」を採用するENEOSでんきに対し、楽天でんきは使用量により料金単価は変わらない。また、契約アンペアが30Aから60Aまで基本料金は0円である。再生可能エネルギー発電促進賦課金と燃料費調整額を含めても、電気を全く使わない月は請求金額が0円になる。
したがって、毎月の楽天でんき電気料金は
・単価に使用量をかけた従量料金
でほぼ決まる。
1kWhあたりの料金は一定で、エリアごとに異なっている。
たとえば、楽天でんきだと東京エリアは1kWhあたり26.5円になる。月に100kWh使えば、単価に使用量をかけた従量料金は2650円となる。上でも述べたように、この料金に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」「燃料費調整額」が足された料金が請求額になる。
楽天でんきで電気代のシュミレーションをしたい人は毎月送られてくる電気代検針票(領収証)もしくは電力会社のウェブページへログインし、契約内容を参照できる形で下記ページの「シミュレーション」から
・電力会社のエリア
・契約プラン、契約容量
・使用量(kWh)
を入力すれば良い。
>>> 楽天エナジー・電気料金シミュレーション(このページからの申し込みで楽天ポイント還元)
上記シュミレーションでは過去の電気料金と比較して「もし楽天でんきならどのぐらいの料金だったか?」を計算できる。既存の電力会社と比較すればかなり安くなるだろう。
ENEOSでんきと楽天でんきはどちらが安いか?
ENEOSでんきは契約アンペア数によって基本料金が異なる。電子レンジや暖房を使う場合、最低でも30Aにしないと頻繁にブレーカーが落ちてしまう。家族で住むなら40Aは必要だろう。関東エリアにおいて30Aで契約すると基本料金は858円、40Aで契約すると1144円になる。関西エリアは最低料金だけで、こうした基本料金はない。
楽天でんきはその前までの契約アンペアを引き継ぎ、30Aから60Aまでエリアに関係なく基本料金無料で利用できる。
下記ではエリアや家族構成ごとに、ENEOSでんきと楽天でんきの料金を比較していく。ENEOSでんきは上記で紹介した「にねんとく2割」適用料金(1kWhあたり0.2円のマイナス)で計算する。
ちなみに、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と「燃料費調整額」は会社ごとの違いがほとんどないため、下記の比較では省略する。
1.関東エリアで「ENEOSでんきの東京Vプラン」と「楽天でんき」の比較(1人ぐらし)
関東エリアの料金(料金メニュー|ENEOSでんきより)
1人暮らし、冷房、暖房をあまり使わない時期に、30Aで1ヶ月に120kwh、「にねんとく2割」で利用したとすると
ENEOSでんき=19.68円(にねんとく2割)×120=2361.6円
2385.6円+858円(基本料金)=3219.6円
楽天でんき=26.5×120=3180円
以上のように楽天でんきの方が1ヶ月39.6円安くなる。
2.関東エリアで「ENEOSでんきの東京Vプラン」と「楽天でんき」の比較(家族5人)
家族5人、50Aで1ヶ月に500kwh、「にねんとく割」で利用したとすると
ENEOSでんき=19.68円(にねんとく2割)×120=2361.6円
24.34円(にねんとく2割)×180(120kWhから300kWhまで)=4381.2円
26.02円(にねんとく2割)×200(300kWhから500kWhまで)=5204円
1万1946.8+1430(基本料金)=1万3376.8円
楽天でんき=26.5×500=1万3250円
以上のように楽天でんきの方が1ヶ月126.8円安くなる。
3.関西エリアで「ENEOSでんきの関西Aプラン」と「楽天でんき」の比較(1人ぐらし)
関西エリアの料金(料金メニュー|ENEOSでんきより)
楽天でんきの関西エリアは1kWhあたり22.5円と関東エリア、中部エリアの26.5円よりも安くなる。
ENEOSでんきには「関西Aプラン」と「関西Bプラン」がある。関西Aプランは家庭用のプランである。関西Bプランは電灯、小型機器が多い家庭や飲食店、商店、事務所向けのプランになる。
関西エリアは基本料金ではなく285円の最低料金がある。15kWhまでは285円で、15kWh以上は3段単価方式で加算される。
関西エリアにおいて、1人暮らし、30Aで1ヶ月に120kwh(夏と冬以外が目安)、「にねんとく2割」で利用したとすると
ENEOSでんき=15kWhまで285円
20.11円(にねんとく2割)×105(15kWhから120kWhまで)=2111.55円
285円(最低料金)+2072.7円=2396.55円
楽天でんき=22.5×120=2700円
以上のようにENEOSでんきの方が1ヶ月303.45円安くなる。
4.関西エリアで「ENEOSでんきの関西Aプラン」と「楽天でんき」の比較(家族5人)
家族5人、50Aで1ヶ月に500kWh、「にねんとく2割」で利用したとすると
ENEOSでんき=15kWhまで285円
20.11円(にねんとく2割)×105(15kWhから120kWhまで)=2111.55円
23.79円(にねんとく2割)×180(120kWhから300kWhまで)=4282.2円
26.80円(にねんとく2割)×200(300kWhから500kWhまで)=5360円
285円(最低料金)+1万1753.75円=1万2038.75円
楽天でんき=22.5×500=1万1250円
以上のように楽天でんきの方が1ヶ月788.75円安くなる。
ENEOSでんきと楽天でんきで受けられる還元と楽天でんきの優れた特徴
電力会社を選ぶ上では電気料金の他にも、利用に対して得られる還元を比較した方が、料金的な面で、より正確な優劣をつけられるだろう。
ENEOSでんきでは電気料金200円につきTポイントが1ポイント貯まる。Tポイントは投資信託や株式の購入ができたり、利用範囲の広いポイントになっている。
楽天でんきも電気料金200円につき楽天スーパーポイントが1ポイント貯まる。また、楽天ポイントでは楽天でんきの電気料金を支払える(TポイントではENEOSでんきの支払はできない)。
楽天のサービスに限定されるものの、楽天ポイントはクレジットカード(楽天カード)やデビットカード(楽天銀行デビットカード)の支払、投資信託(楽天証券)、株式の購入(楽天証券)だけでなく、携帯代(楽天モバイル)、ガス代(楽天ガス)にまで利用できる。Tポイント以上に利用範囲は広く、日本で最強のポイントと言えるだろう。
楽天ポイントで電気代の支払いができる点が楽天経済圏で暮らす人にとって楽天でんきを選択すべき最大の理由となっている。
期間限定ポイントも利用できる楽天でんき
また、期間限定ポイントも楽天でんきの電気代支払に利用できる。期間限定ポイントは楽天でんきだけでなく、楽天モバイルの携帯代や楽天ガスのガス代の支払にも使える。

SPU(スーパーポイントアッププログラム)などで毎月還元率を上げてる人は現金を減らさずに、ポイントによる支払だけで電気の利用ができるはずだ。固定費の負担が減れば、当然その分豊かになるだろう。
ENEOSでんきと楽天でんきはどちらを選ぶべきか?
ENEOSでんきはサービスの提供エリアが北は北海道、南は九州までである。したがって、沖縄では利用できない(2021年5月現在)。楽天でんきは沖縄での利用も可能である。
ENEOSでんきは関東だと120kwhまでは19.68円、300kWh以上が1kWhあたり26.02円になる(にねんとく2割適用の単価)。楽天でんきは1kWhあたり26.5円なので、使用量がかなり少ないか多くなれば、ENEOSでんきの方が安くなる。しかし、使用量が中程度なら、楽天でんきより高くなってしまう。
ENEOSでんきの関西エリアでは基本料金の代わりに、15kWhまで最低料金の285円が取られる。1ヶ月の使用量が12kWhぐらいまでは楽天でんきが安くなる。しかし、13kWh以上で一人暮らしの利用範囲ならENEOSでんきの方が安くなる。
関西エリアにおいて、楽天でんきは一律22.5円に対し、ENEOSでんきは120kWh以上で23.79円、300kWh以上で26.60円と高くなる(にねんとく2割適用)。使用量の多い月なら楽天でんきの方が安くなる。
具体的にそれぞれの電力会社で料金のシュミレーションをしたい人は下記ページが役に立つだろう。
請求料金のほかに、ENEOSでんきと楽天でんきの還元や受けれられるサービスも比較した方が良いだろう。
ENEOSでんきと楽天でんきはいずれも200円で1ポイントの還元を受けれる。ENEOSでんきはTポイント、楽天でんきは楽天ポイントがもらえる。どちらのポイントが汎用性が高く、利用しやすいかと言えば断然楽天ポイントだろう。
また、楽天でんきは電気代も全額楽天ポイントによる支払ができる。楽天経済圏で生活している人は電気代で現金が減ってる感覚、電気代を負担している感覚も無くなるはずだ。
料金の点を含め、楽天ポイントを貯めやすい環境にある人はENEOSでんきよりも楽天でんきがおすすめである。
楽天でんきの特徴について更に詳しく知りたい人は下記記事も参考に。
