楽天Pay(楽天ペイ)はスマートフォンの決済アプリである。アプリ内のバーコードをスマホ画面へ表示して読み取ってもらう方法(コード払い)、カメラでQRコードを読み取る方法(QR払い)、アプリで支払うお店を選択して支払う方法(セルフ)、ほかにもSuica払い、楽天Edy払いといったスマホをかざして料金の支払ができる。
App Store、Google Playアプリは下記ページからダウンロードできる。

楽天Payが利用できる店として、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど有名なコンビニチェーンは一通りある。居酒屋なら白木屋、魚民、笑笑。アパレルショップや漫画喫茶、引っ越しサービスの支払にも楽天Payが使える(2020年10月現在)。
楽天ペイ: アプリ決済が使えるお店より。街(リアル)での決済の他、オンラインでの利用もできる。
楽天Payでは決済による還元も得られる。1%還元を原則として、楽天カードによる楽天キャッシュチャージで0.5%還元ももらえたり、キャンペーンによる還元率アップもある。
楽天ではSPUやキャンペーンといった仕組みで楽天ポイントを得ても、その多くが期間限定ポイントになっている。この期間限定ポイントを賢く使う方法の1つとして楽天Payがある。
また、楽天キャッシュは楽天Payを通して、他人へ送付ができる。送付には手数料もかからず、スマホ1つで簡単にできる。上でも述べたように、楽天キャッシュを楽天カードでチャージすると0.5%還元を得られる。つまり、楽天キャッシュを送金として利用すればするほど、手数料がかかるどころか還元も得られるのだ。クレジットカードによるチャージで還元を受けれる点はPayPayやKyashには無い優れた特徴になる(2020年10月現在)。
この記事では
▶ 楽天Payで得られる還元
を原則の1%還元から還元の得られない支払元も紹介し
▶ 楽天Payの賢い利用方法
として期間限定ポイントの消化や楽天キャッシュによる送付
▶ 楽天Payの利用限度額
▶ 楽天Payのデメリットと位置づけ
についても詳しく述べていきたいと思う。
楽天Payで得られる還元
楽天Payで受けれる還元(pay.rakuten.co.jpより)
楽天Payでは
1.楽天キャッシュ
2.楽天ポイント
3.クレジットカード
を原資に支払いができる。支払元の設定方法については下記ページを参考に。

楽天キャッシュや楽天ポイントは支払時に不足する可能性がある。クレジットカードもしくはデビットカードを支払元に設定しておけば、楽天キャッシュや楽天ポイントが不足していても、残りをカード決済にしてくれる。したがって、楽天Payの利用前にクレジットカードもしくはデビットカードの設定はしておくべきだ。
楽天Payの還元システムは何度か変更されている。2020年10月現在、楽天キャッシュ、楽天ポイントが原資では原則1%還元が得られるようになっている(キャンペーン時を除く)。
支払元 | 楽天Payで得られる還元 | 支払元で得られる還元 | 備考 |
---|---|---|---|
チャージ払い (楽天キャッシュ払い) | 1% | 0% (楽天カードで楽天キャッシュをチャージする際に0.5%還元) | 楽天銀行やラクマで楽天キャッシュをチャージする際には還元を得られない |
ポイント払い (楽天ポイント払い) | 1% | 0% | 通常ポイント、期間限定ポイントいずれも1ポイント1円として利用できる |
クレジットカード払い | 0% | 楽天カードなら1%還元 | 楽天カード以外では還元を得られない。ただし、Kyash Cardなどでは支払元の還元を得られる |
キャンペーン時を除く、楽天Payで通常時に得られる還元(pay.rakuten.co.jpより)。還元されるのは楽天の通常ポイントになる。
楽天キャッシュを楽天カードでチャージすると0.5%の還元が得られる。楽天Payでは1%還元を得られるため、楽天カードで楽天キャッシュをチャージし、料金をチャージ払いにすると合計で1.5%還元になる。楽天銀行やラクマで楽天キャッシュをチャージしても還元は得られないため、楽天Payによる還元のみの1%還元になる。
楽天キャッシュをチャージする方法については下記ページを参考に。

楽天ポイントによるポイント払いでも1%還元を得られる。ポイントには楽天の通常ポイント、期間限定ポイントいずれでも1ポイント=1円で利用できる。
クレジットカード払いで楽天カードを支払元に設定すれば楽天カードによる還元として1%還元を得られる。楽天カード以外では楽天Payおよび支払元クレジットカードによる還元を得られないので注意しよう。
Kyash Cardを楽天Payの支払元に設定して得られる還元
Kyash Cardとはプリペイド式のカードである。以前まで、このKyash Cardを楽天Payの支払元に設定すると
1.楽天Payの還元
2.Kyash Cardの還元
3.Kyash Cardの支払元に設定したクレジットカード(デビットカード)の還元
と3重にわたって還元を得られた。しかし、2020年10月現在、楽天Payの支払元にKyash Cardを設定しても「3.Kyash Cardの支払元に設定したクレジットカード(デビットカード)の還元」しか得られなくなっている。なぜなら、クレジットカードを楽天Payの支払元に設定しても楽天カード以外、還元を得られないからだ。
Kyash Cardで決済すれば2%の還元も得られる。したがって、楽天Payで支払うより、Kyash Cardの方が還元率は高い。
Kyash Cardについて詳しく知りたい人は下記記事を参考に。
日常の決済で高還元を得るのが目的であれば無理に楽天Payを利用する必要はない。還元を得る目的ならKyash Cardによる決済を優先すべきだ。
楽天Payの賢い使い方
楽天Payの支払元に楽天カードを設定すれば、楽天Pay決済も実質的に楽天カードを利用しているのと同じになる。還元も楽天カードの方へ得られるし、街での楽天カードの利用分がポイント2倍キャンペーンでも楽天Payは+1%還元の対象になっている。

楽天カードを持ち歩く必要がなく、スマホ1台で楽天カードが利用できるのは便利だろう。スマホを持参するだけで買い物や外食ができるのだ。ただし、楽天Payはクレジットカードよりも利用できる店が少ない。したがって、利用範囲が限定されてしまう。
都心部はともかく、日本全国で見ればスマホ決済だけで買い物や外食できる世の中にはなっていない。
また、リアルの消費で還元を得る手段としても楽天Payが優れているわけではない。これは他の決済アプリにも言える。還元率で見るなら、上でも紹介したようにKyash Cardがもっとも優れているからだ(ただし、キャンペーン時にはKyash Card以上の還元が得られるときもある)。
楽天Payが他よりも明確に優れていたり、賢い利用方法と言えるのは
1.期間限定ポイントの消費
2.楽天キャッシュを利用した送金
以上の2点である。
下記で詳しく紹介していく
期間限定ポイントの消費
楽天のSPUやキャンペーンといった仕組みで楽天ポイントを得ても、その多くが期間限定ポイントになっている。この期間限定ポイントを賢く使う方法の1つとして楽天Payが利用できる。
楽天Payによる決済で楽天ポイントを使いたい場合、楽天Payアプリのホーム画面で設定できる。バーコードの下にある「すべてのポイント/キャッシュを使う」の設定から利用ポイント数まで決められる。
楽天Payにおける楽天Payの利用設定(pay.rakuten.co.jpより)。楽天ポイントの利用設定では「使わない」「(利用できる楽天ポイントを)すべて使う」「一部使う」から選択できる。一部使うでは何ポイントまでを上限に使うか決められる。一度ポイントで決済しても「次回もこの設定を使う」にチェックを入れない限り、ポイントを使わない状態に戻る。ポイントが足りない場合、紐付けされてるクレジットカードでの決済になる。
ポイントの利用設定では期間限定ポイントのみを使うといった設定ができない。ただ、楽天Pay決済に限らず、楽天ポイントに通常ポイントと期間限定ポイントが混ざっている場合、期間限定ポイントは優先的に消費されていく。期間限定ポイントのみを使いたいなら「一部使う」の設定から期間限定ポイント数を入力しておけば良いだろう。
期間限定の楽天ポイントは楽天カードの支払に利用できなかったり、株式や投資信託の購入ができない。資産として見た場合、通常ポイントよりも価値が下がる。
また、期間限定ポイントを含む楽天ポイントを楽天で利用するとSPUやキャンペーンによる還元が減ってしまう。したがって、楽天での消費にも向いていない。
楽天Payは期間限定ポイントの賢い利用方法の1つと言える。楽天Payを含む期間限定ポイントの賢い利用方法については下記記事を参考に。

ネット決済でも利用できる楽天Pay
楽天Payはネット上の決済にも利用できる。楽天Pay支払に対応しているなら、他社のポイントも楽天Payで購入できる。この時も期間限定ポイントは通常ポイントと同じ価値で取引される。期間限定ポイントの有効期限が迫っている場合も、楽天Payは他社ポイントへの交換手段として使えるだろう。
たとえば、DMMはクレジットカードやPayPal、Paidyでの支払い以外にも、楽天Pay決済によるDMMポイントのチャージができる(point.dmm.co.jpより)。購入したDMMポイントには有効期限が無い。
ただし、一部のネット決済では「全額」を楽天ポイントで支払えない。DMMポイントも同様で下記のようなエラーが出る。
「全額」を楽天ポイント決済にできないだけなので、1円だけでもポイント以外の決済にすれば良い。
「ポイントを利用する」にチェックを入れ、請求金額以下のポイントを入力する。1000円分の購入なら、999ポイントでも良い。残りの1円をクレジットカードなど別で支払えばエラーも出なくなる。
DMMポイント1000円分のうち999円を楽天ポイントで購入
全額ポイント決済ができなかった場合は「ポイントを利用する」から利用ポイントを減らし決済を進めよう。
楽天キャッシュを利用した送金
楽天キャッシュは楽天Payを通して送付ができる。楽天Payによる送付はスマホ1台で簡単に行える。送付先の本名を知らなくても楽天キャッシュを送れるため、匿名で楽天キャッシュのやり取りができる。楽天キャッシュを受け取る方はもちろん、送る際にも手数料は取られない。
また、楽天キャッシュを楽天カードでチャージすると0.5%還元を得られる。たとえば、3万円分を送るために楽天キャッシュをチャージすれば150ポイントを貯められるのだ。手数料がかかるどころか、プラスになる送金を行える。クレジットカードによるチャージで還元を受けれる点はPayPayやKyashなど、ほかの決済アプリには無い機能になっている(2020年10月現在)。
個人間、友人グループ、仕事仲間、サークル仲間などでの現金受渡は楽天Payで行うように提案してみるべきだ。
楽天キャッシュも楽天ポイントと同様に幅広いサービスで利用できる。

ただし、現在、楽天キャッシュからの直接的な現金化は停止されており、再開の目処は立っていない。また、楽天キャッシュは楽天の通常ポイントのように株式や投資信託の購入もできない。
楽天Payの原資になる楽天キャッシュについて詳しく知りたい人は下記記事を参考に。
ちなみに、楽天キャッシュの送付には上限がある。
1回の送付:10万円
1ヶ月の送付:100万円
送付単位は1円以上1円単位で可能である(cash.rakuten.co.jpより)
楽天Payの利用限度額
楽天Payの利用限度額は支払元によって異なる。いずれも最大で1ヶ月50万ポイント(50万円分)になる。
楽天Payアプリの支払元がカード(クレジットカード・デビットカード)の場合、利用上限金額は1回あたり最大50万円になる(support.pay.rakuten.netより)。もちろん、支払元のクレジットカードが50万円以下の限度額なら、楽天Payでもクレジットカードの利用限度額までしか利用できない。たとえば、クレジットカードの利用限度額が10万円なら楽天Payの利用限度額も10万円となる。
楽天ポイントで支払う場合、利用限度額は会員のランクで分かれている。ダイヤモンド会員は1回50万円分(50万ポイント)、1ヶ月あたりも50万円分までとなっている。ダイヤモンド以下のプラチナ、ゴールド、シルバー、レギュラーは1回3万円、1ヶ月10万円まで制限されてしまう。
1回の取引限度額 | 1ヶ月の取引限度額 | |
---|---|---|
ダイヤモンド会員以外 | 3万ポイント (50ポイントから3万ポイント) | 10万ポイント |
ダイヤモンド会員 | 50万ポイント | 50万ポイント |
1ポイント=1円として利用できる。1ヶ月50万円分の50万ポイントまでしか支払に利用できない。楽天ポイント会員のランクは楽天ポイントのmy rakutenより確認できる。ハッピープログラムのステージとは異なるので注意。
ダイヤモンド会員になる条件などについては下記ページを参考に。

ダイヤモンド会員なら楽天ポイントを支払元にしても十分なポイント数を利用できる。しかし、ダイヤモンド会員以外の場合、楽天ポイント数が1回3万ポイント、1ヶ月10万ポイントまでになる。
グループでの飲み会だったり、家電など高額な買い物ではオーバーしてしまう可能性があるため、利用限度額についても頭へ入れておいた方が良いだろう。
楽天Payのデメリットと位置づけ
楽天Payは期間限定のポイントをリアルの消費で現金と同等の価値にできたり、送金の際のチャージで還元を受けれるため利用価値の高いアプリになっている。
ただ、楽天Payにもデメリットはある。デメリットとして影響の大きいものからあげていくと
1.お会計時に時間のかかる場合がある
2.利用できるお店が少ない
以上のようになる。
下記でそれぞれ詳しく紹介していこうと思う。
1.お会計時に時間のかかる場合がある
楽天Payによる支払い方法は「コード表示」と「QR読み取り」「セルフ」のほかにも「Suica払い」「楽天Edy払い」といったスマホをかざして決済する方法がある。コンビニでなどでは「コード表示」による支払い楽で、下記のような流れになる。
スマホで楽天Payアプリを開いてバーコードを画面に表示し、レジで読み取ってもらう(楽天ペイ:使い方より)

チェーン店以外の小売店では導入コストの安いQR読み取りでの決済にのみ対応といった形も採用している。
楽天Payはコンビニやスーパー、ドラッグストアなどで使われている。利用者の多い店舗ではクレジットカード決済並みにスムーズな対応してくれる。しかし、小売店の一部ではレジの担当者も初めての対応になるケースが多々ある。
マイナーな決済方法だと、レジの対応する店員がどうしても戸惑ってしまう。決済に時間がかかるだけでなく、支払のたびにレジ担当者が混乱すると、こちらも楽天Payを使いにくくなるだろう。
また、スマホ決済ではバーコードを読み取ってから決済が完了するまでに数秒のタイムラグが生じるときがある。ネット環境によっては遅延が生じるのだ。クレジットカードはインターネットではなく専用線を利用しているためスムーズな決済ができる。クレジットカードのスピードに慣れていると少々遅く感じるときもあるだろう。
その他、画面が汚れていたり、傷が入っていると読み取り自体に時間がかかったり、コードでの支払いができなくなる。「QR読み取り」「セルフ」での支払いへと変更する必要が出てくるだろう。
2.利用できるお店が少ない
上でも述べたとおり、大衆向けのお店としてはコンビニやドラッグストアぐらいしかない。

ネット上およびリアルでも利用できる店は増えてるものの、クレジットカードに取って代わるほどの利用店舗数はまだまだ無い。利用できるお店が少ないというのは、楽天Payのもっとも大きなデメリットである。
楽天Payが使えない店舗ではVISA加盟店を網羅しているKyash Cardで決済する必要性も出てくるだろう。外出時にスマホ1台だけで支払が完結する世の中にはまだなっていない。
楽天では多くの商品がAmazonよりも安く買える上、SPUやキャンペーンにより大きな還元を得られる。したがって、Amazonよりも楽天での消費額を増やした方が生活は豊かになる。

ただ、楽天では買えない商品もあるし、社会生活を送る上でリアルでの支出も避けられないだろう。付き合いがあれば個人間でのお金のやり取りも生じる。
こうした楽天以外の消費を補うために、楽天Payを用意しておいて損はないだろう。
