日本株における手数料では楽天証券とSBI証券に大きな差はない。投資信託や金・銀・プラチナの購入、iDeCoでは「楽天証券」、米国株を含む外国株式や海外ETF、外国債券の購入では「SBI証券」を使うのがおすすめである。海外の金融商品でSBI証券がおすすめなのは外貨を住信SBIネット銀行で安く調達できる点が大きい。
楽天証券やSBI証券はネット証券と呼ばれ、大手証券会社よりも手数料が安い。いずれの口座を開設しておいて損はなく、マイナーな投資商品を買う予定がないなら証券口座はこの2社で十分だろう。
>>> 【投資信託、金・銀・プラチナの購入、iDeCoでおすすめ】楽天証券
>>> 【外国株式や海外ETF、外国債券の購入でおすすめ】SBI証券
この記事では
▶ 楽天証券とSBI証券の比較(まとめ)
から国内株式、外国株式、海外ETF、投資信託、債券、金・銀・プラチナ、iDeCoにおける
▶ 楽天証券とSBI証券の使い分け方法
まで詳しく紹介していきたいと思う。
楽天証券とSBI証券の比較(まとめ)
まず、証券会社で人気の金融商品
1.国内株式
2.外国株式
3.海外ETF
4.投資信託
5.債券
6.金・銀・プラチナ
7.iDeCo
を楽天証券とSBI証券において、手数料を中心に比較すると下記のようになる。
楽天証券 | SBI証券 | |
---|---|---|
国内株式 | 「超割コース」と「いちにち定額コース」がある。 1回の取引ごとに手数料がかかるプランで1取引税込55円から。 | 「スタンダードプラン」と「アクティブプラン」がある。 1回の取引ごとに手数料がかかるプランで1取引税込55円から。 |
外国株式(米国株) | 手数料は「為替コスト」「取引手数料」。 米国株の取引手数料は税込0.495%。 | 手数料は「為替コスト」「取引手数料」。 米国株の取引手数料は税込0.495%。 (住信SBIネット銀行で買った外貨を使える) |
海外ETF | 手数料は「為替コスト」「取引手数料」「総経費率」。 米国ETFの取引手数料は約定代金の税込0.495%。 | 手数料は「為替コスト」「取引手数料」「総経費率」。 米国ETFの取引手数料は約定代金の税込0.495%。 (住信SBIネット銀行で買った外貨を使える) |
投資信託 | 主な手数料は信託報酬。 楽天カード、楽天ポイントで投資信託が買える。 購入による還元、保有金額に応じたポイント還元あり。 | 主な手数料は信託報酬。 Tポイントで投資信託が買える。 保有金額に応じたポイント還元あり。 |
債券 | 取引手数料は無料。ただし、外国債券は為替コストがかかる。 | 取引手数料は無料。ただし、外国債券は為替コストがかかる。 (住信SBIネット銀行で買った外貨を使える) |
金・銀・プラチナ | 手数料は買付代金の1.65%(税込)。保管料、売却手数料は無料。 | 手数料は買付代金の2.2%(税込)。保管料、売却手数料は無料。 金、銀、プラチナを現物転換請求ができる。 |
iDeCo | 加入時・移換時の手数料 2829円 口座管理費 月171円 還付手数料 1488円 | 加入時・移換時の手数料 2829円 口座管理費 月171円 還付手数料 2148円 |
2020年10月現在。
下記ではそれぞれの手数料を中心に、更に詳しく比較していく。
国内株式
国内株式や先物取引で生計を立てるプロのトレーダーなら取引ツールも判断基準となるかもしれない。しかし、一般人は手数料の安さが重要になるだろう。
楽天証券およびSBI証券の国内株式における現物取引手数料には
・1回の取引ごとに手数料を取られるプラン
・1日の取引金額合計で手数料が決まるプラン
の2種類がある。
「1回」の取引ごとに手数料を取られるプラン:楽天証券「超割コース」、SBI証券「スタンダードプラン」
「1日の取引金額合計」で手数料が決まるプラン:楽天証券「いちにち定額コース」、SBI証券「アクティブプラン」
「1回」の取引ごとに手数料を取られるプランでは楽天証券、SBI証券ともに同じ手数料である。
取引金額 | 楽天証券の現物取引手数料 | SBI証券の現物取引手数料 |
---|---|---|
5万円まで | 55円(税込) | 55円(税込) |
10万円まで | 99円(税込) | 99円(税込) |
20万円まで | 115円(税込) | 115円(税込) |
50万円まで | 275円(税込) | 275円(税込) |
100万円まで | 535円(税込) | 535円(税込) |
150万円まで | 640円(税込) | 640円(税込) |
3000万円まで | 1013円(税込) | 1013円(税込) |
3000万円超 | 1070円(税込) | 1070円(税込) |
楽天証券「超割コース」、SBI証券「スタンダードプラン」の手数料(2020年10月現在。sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)。「1回」の取引ごとに手数料を取られる。
「1日の取引金額合計」で手数料が決まるプランでは100万円を越えると、SBI証券の方が安くなる。
取引金額 | 楽天証券 | SBI証券 |
---|---|---|
50万円まで | 0円 | 0円 |
100万円まで | 943円(税込) | 0円 |
200万円まで | 2200円(税込) | 1278円(税込) |
300万円まで | 3300円(税込) | 1718円(税込) |
300万円超 | 300万円超は100万円増えるごとに+1100円(税込) | 300万円超は100万円増えるごとに+440円(税込) |
楽天証券「いちにち定額コース」、SBI証券「アクティブプラン」の手数料(2020年10月現在。sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
1日の約定代金はデイトレーダーでもなければ100万円を越えないだろう。100万円を越えない一般人が「1日の取引金額合計」で手数料が決まるプランを利用するなら楽天証券、SBI証券いずれでも手数料は0円になる。
また、楽天証券およびSBI証券では一定の条件を満たすと大口優遇を受けられる。大口優遇が適用されると現物取引で手数料の割引を受けられたり、信用取引手数料が0円になる。
くわえて、楽天証券、SBI証券はともに手数料の一部がポイントとして還元される。
手数料や還元されるポイントについて更に詳しくは下記ページを参考に。

信用取引手数料についても楽天証券およびSBI証券で大きな違いはない。

外国株式
外国株式では扱いのある国や銘柄数、手数料で違いが出てくる。
SBI証券では楽天証券で取り扱いの無い「韓国株」「ベトナム株」「ロシア株」が買える。
取扱状況 | SBI証券での取扱 | 楽天証券での取扱 |
---|---|---|
米国株 | ○ | ○ |
中国株(上海、香港) | ○ | ○ |
韓国株 | ○ | × |
シンガポール株 | ○ | ○ |
タイ株 | ○ | ○ |
マレーシア株 | ○ | ○ |
インドネシア株 | ○ | ○ |
ベトナム株 | ○ | × |
ロシア株 | ○ | × |
○取扱あり、×取扱なし(2020年10月現在。site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより。)
取り扱っている各国株式の銘柄数は下記のようになる。
取扱銘柄数 | SBI証券での取扱銘柄数 | 楽天証券での取扱銘柄数 |
---|---|---|
米国株 | 1942銘柄 | 2439銘柄 |
中国株(上海、香港) | 1387銘柄 | 901銘柄 |
韓国株 | 63銘柄 | 0銘柄 |
アセアン株 | 553銘柄 | 151銘柄 |
ロシア株 | 30銘柄 | 0銘柄 |
合計 | 3975銘柄 | 3491銘柄 |
2020年7月現在(site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
扱う外国株式の数ではSBI証券が日本の証券会社の中でもトップクラスになっている。
また、外国株の売買でかかる手数料としては
1.為替コスト
2.取引手数料
がある。
SBI証券では住信SBIネット銀行で購入した外貨を利用できる。外貨は住信SBIネット銀行の方が買付手数料も安くなっている。
取引手数料ついてはどの国の株式か、約定代金によっても異なる。米国株の取引手数料ではSBI証券も楽天証券も違いがない。
外国株式の売買における為替コストと米国、中国、タイ株式の取引手数料について下記で詳しく紹介していく。
為替コスト
SBI証券と楽天証券の為替コストを比較すると下記のようになる。
通貨 | SBI証券の為替コスト | 楽天証券の為替コスト |
---|---|---|
米ドル/日本円 | 25銭 | 25銭 |
ユーロ/日本円 | 80銭 | 50銭 |
英ポンド/日本円 | FXでのみ取扱 | 70銭 |
豪ドル/日本円 | 100銭 | 70銭 |
NZドル/日本円 | 100銭 | 70銭 |
カナダドル/日本円 | 80銭 | 80銭 |
南アランド/日本円 | 30銭 | 30銭 |
トルコリラ/日本円 | 150銭 | 150銭 |
メキシコペソ/日本円 | 30銭 | 30銭 |
ロシアルーブル/日本円 | 8銭 | 8銭 |
中国人民元/日本円 | 20銭 | FXでのみ取扱 |
香港ドル/日本円 | 15銭 | 香港株 15銭 上海株 20銭 |
韓国ウォン/日本円 | 20銭 (100ウォンあたり) | 取扱商品無し |
インドネシアルピア/日本円 | 0.03銭 (100ルピアあたり) | 0.03銭 |
シンガポールドル/日本円 | 83銭 | 83銭 |
タイバーツ/日本円 | 8銭 | 8銭 |
マレーシアリンギット/日本円 | 43銭 | 43銭 |
ベトナムドン/日本円 | 200銭 (1万ドンあたり) | 取扱商品無し |
2020年7月現在、株式を買えない国の為替コストも含む(site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jp、rakuten-sec.co.jp、rakuten-sec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
証券口座にの為替コストについて、取扱通貨のいくつかは楽天証券の方が安くなっている。しかし、住信SBIネット銀行ではSBI証券よりも安いコストで外貨の売買ができ、購入した外貨はSBI証券へ入金し、外国株式の購入に充てられる。
住信SBIネット銀行で取り扱いのある外貨は米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン、香港ドル、南アランドの9通貨である。
通貨 | 住信SBIネット銀行の為替コスト |
---|---|
米ドル/日本円 | 4銭 |
ユーロ/日本円 | 13銭 |
英ポンド/日本円 | 28銭 |
豪ドル/日本円 | 25銭 |
NZドル/日本円 | 25銭 |
カナダドル/日本円 | 25銭 |
南アランド/日本円 | 14銭 |
スイスフラン/日本円 | 28銭 |
香港ドル/日本円 | 5銭 |
住信SBIネット銀行の為替コスト(2020年10月現在、netbk.co.jpより)
更に住信SBIネット銀行では頻繁に為替コストの買付手数料無料のキャンペーンが行われている。
住信SBIネット銀行で定期的に行われている米ドルの為替コスト0円キャンペーン。全9通貨の買付時における為替コストが無料になる(netbk.co.jpより)。
住信SBIネット銀行を使うことにより、楽天証券よりも為替コストは抑えられるだろう。
取引手数料
米国株は楽天証券、SBI証券ともに取引手数料が同じになっている。
米国株 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
取引手数料 | 約定代金の0.495%(税込) | 約定代金の0.495%(税込) |
最低手数料 | 0ドル | 0ドル |
最高手数料 | 22ドル(税込) | 22ドル(税込) |
2020年10月現在の約定代金に対する取引手数料(インターネット注文。site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
SBI証券も楽天証券も約定代金が2.22ドル以下の場合は手数料が無料になる。約定代金が4444.45ドル以上の場合は一律22ドルの手数料になる。
ただ、上でも述べたように住信SBIネット銀行で米ドルを購入すれば為替コストを抑えられる。したがって、SBI証券の方が米国株取引でかかる手数料合計金額は安くなる。
中国株は楽天証券とSBI証券で取引手数料も異なっている。
中国には上海証券取引所、深セン証券取引所、香港には香港証券取引所がある。海外投資家は香港経由で中国市場に上場する株式の取引もできる。
中国株 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
手数料 | 約定代金の0.286%(税込) | 約定代金の0.55%(税込) |
最低手数料 | 51.7香港ドル(税込) | 550円(税込) |
最高手数料 | 517香港ドル(税込) | 5500円(税込) |
2020年10月現在の約定代金に対する取引手数料(インターネット注文。site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
51.7香港ドルは2020年10月現在約695.3円、517香港ドルは約6953円。
楽天証券は約定代金が10万円までは一律550円の手数料になる。約定代金が100万円を越えると、手数料が一律5500円(税込)になる。
SBI証券は約定代金が約1.8万香港ドル(約25万円)まで51.7香港ドル(約695.3円)、約18万香港ドル(約250万円)を越えると、手数料が一律517香港ドル(約6953円)となる。
したがって、約定代金が12万円ぐらいまで、および約定代金が上がると楽天証券の方が取引手数料は安くなる。
例)約定代金が12万円
SBI証券:12万円の0.286%=343.2円⇒最低手数料の約695.3円(税込)を請求される
楽天証券:12万円の0.55%=660円⇒660円(税込)が手数料となる。
為替コストはSBI証券が1香港ドルあたり15銭、楽天証券は香港株が15銭、上海株が20銭となっている。ちなみに、香港ドルも住信SBIネット銀行で購入でき、住信SBIネット銀行では香港ドルの為替コストは5銭になる。
1香港ドルは約13.47円(2020年10月現在)、住信SBIネット銀行で1万香港ドルを購入すると500円の為替コストになる。
楽天証券では香港株を1万香港ドル分購入すると1500円、上海株で2000円になる。
ただ、最高手数料は楽天証券の方が安いため(100万円以上でも5500円)、約定代金によって手数料の優位性は変わるだろう。
タイ株でもSBI証券と楽天証券で最低手数料が異なっている。
タイ株 | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
手数料 | 約定代金の1.1%(税込) | 約定代金の1.1%(税込) |
最低手数料 | 837.1(税込) (ただし、売却代金が最低手数料に満たない場合は約定代金の55%(税込)が手数料) | 550円(税込) |
最高手数料 | 上限なし | 上限なし |
2020年10月現在の約定代金に対する取引手数料(インターネット注文。site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
最低手数料の837.1バーツは約2800円(2020年10月現在)。SBI証券では売却代金が837.1バーツに満たない場合、約定代金の55%(税込)=460.4バーツ(約1540円)になる。837.1バーツ以上7.61万バーツ(約25.5万円)以下までは取引手数料が837.1バーツ。楽天証券では5万円まで550円、5万円以上は1.1%となる。
したがって、25万円ぐらいまでなら楽天証券の方が取引手数料は安くなる(2020年10月現在)。ただし、タイバーツが安くなればSBI証券の方が手数料は安くなる。
例)約定代金が25万円
SBI証券:25万円の1.1%=2750円⇒最低手数料の約2800円(税込)を請求される
楽天証券:25万円の1.1%=2750円⇒2750円(税込)が手数料となる。
SBI証券および楽天証券の為替コストは1バーツあたり8銭と同じである。タイバーツは住信SBIネット銀行では買えない。したがって、為替コストを考慮しても、約定代金が約25万円ぐらいまでは楽天証券の方が安いという結論は変わらない(2020年10月現在)。
海外ETF
海外ETFの取扱本数についてSBI証券、楽天証券で比べると下記のようになる。
SBI証券 | 楽天証券 | |
---|---|---|
米国ETF/ETN | 280本 | 311本 |
中国ETF | 29本 | 29本 |
シンガポールETF | 5本 | 33本 |
韓国ETF | 2本 | 0本 |
合計 | 316本 | 373本 |
2020年7月現在(site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
また、海外ETFでは
1.取引手数料(買付手数料、売却手数料)
2.為替コスト
3.総経費率(エクスペンスレシオ)
が手数料として取られる。
米国ETFはSBI証券、楽天証券いずれでも米国株式と同じ取引手数料が請求される。
米国ETF | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
手数料 | 約定代金の0.495%(税込) | 約定代金の0.495%(税込) |
最低手数料 | 0ドル | 0ドル |
最高手数料 | 22ドル(税込) | 22ドル(税込) |
総経費率(エクスペンスレシオ)は投資信託における「信託報酬」と同じような性質の手数料であり、1年間に少しずつ引かれる。
アメリカの人気ETFの多くは総経費率が年率0.1%以下になっている。たとえば、1年で100万円保有していた場合、総経費率が0.1%だと1年で1000円が引かれる。
総経費率はETFによって異なり、証券会社ごとに違いはない。したがって、ETFで比較すべき手数料も外国株式と同様に為替コストと取引手数料である。多くの証券会社は為替コストと取引手数料は外国株式と同じ料金体型にしており、海外ETFもSBI証券の方が安く買える。
また、ETFの買付手数料はSBI証券のNISA口座だと無料になる(売却手数料はかかる)。楽天証券では買付手数料分のキャッシュバックを行い、実質無料にしている。ただし、ETFを購入できるのは(一般)NISA口座である。つみたてNISA口座では海外ETFを買えないので注意しよう。
投資信託
投資信託の手数料には
1.買付手数料
2.解約手数料
3.信託報酬
の3つがある。これら手数料は証券会社ごとに違いはない。
また、最近は多くの投資信託がノーロードと呼ばれ買付手数料、解約手数料が無料となっている。したがって、投資信託でかかる手数料は基本的に「信託報酬のみ」となっている。
信託報酬は安いもので年0.1%、高いもので年2%程度となる。信託報酬は1年間少しずつ引かれる手数料である。100万円保有している場合、信託報酬が0.1%なら1年間で1000円、信託報酬が2%なら2万円となる。
投資信託の購入において、証券会社ごとの違いは投資信託の取り扱い、購入や保有における還元で決まる。
投資信託の購入・保有で受けられる還元については、SBI証券、楽天証券でまとめると下記のようになる。
楽天証券 | SBI証券 | |
---|---|---|
投資信託の購入による還元 | 楽天カード(クレジットカード)で購入すると1%還元 | 無し |
投資信託の保有による還元 | 投資信託の残高10万円ごとに毎月4ポイント(年率0.048%還元) | 月間平均保有金額に対し年率0%から0.2%還元 |
2020年10月現在
下記でそれぞれ詳しく紹介していく。
楽天証券で投資信託の購入と保有により受けられる還元
楽天証券では月5万円(年60万円)まで 楽天カード(クレジットカード)で投資信託の購入ができる。クレジットカードによる購入では通常の買い物と同様に1%還元も受けれる。毎月5万円分の投資信託を購入するなら、1ヶ月で500円分のポイント、1年で6000円分のポイントがもらえる。
また、楽天証券では楽天銀行との口座連携サービス「マネーブリッジ」および「楽天銀行ハッピープログラム」に登録すると、投資信託の残高10万円ごとに毎月4ポイントもらえるプログラムも提供されている。1000万円分の投資信託を持っていれば毎月400ポイント貰える。年率にすると0.048%である。
楽天銀行に口座を持っておらず、マネーブリッジおよびハッピープログラムに参加していないなら、自動的に投資信託資産形成ポイントが付与される。マネーブリッジおよびハッピープログラムによるポイントと投資信託資産形成ポイントの両方はもらえない。
投資信託資産形成ポイントは投資信託の残高が50万円以上で50ポイントから1000ポイントまでもらえる。
ポイント獲得に必要な残高 (毎月末時点) | 付与されるポイント数 |
---|---|
50万円以上~200万円未満 | 50ポイント |
200万円以上~400万円未満 | 100ポイント |
400万円以上~600万円未満 | 150ポイント |
600万円以上~800万円未満 | 200ポイント |
800万円以上~1000万円未満 | 300ポイント |
1000万円以上~2000万円未満 | 500ポイント |
2000万円以上 | 1000ポイント |
残高ごとの投資信託資産形成ポイントrakuten-sec.co.jpより
50万円で50ポイントなので、マネーブリッジおよびハッピープログラムよりも還元率が高くなる。しかし、250万円を越えると、マネーブリッジおよびハッピープログラムの方が還元率は高くなる。マネーブリッジおよびハッピープログラムでは投資信託の残高10万円ごとに毎月4ポイント増えていくからだ。
投資信託の残高250万円で還元されるポイント | 投資信託の残高300万円で還元されるポイント | 投資信託の残高400万円で還元されるポイント | |
---|---|---|---|
マネーブリッジおよびハッピープログラム | 100ポイント | 120ポイント | 160ポイント |
投資信託資産形成ポイント | 100ポイント | 100ポイント | 150ポイント |
また、投資信託資産形成ポイントは2000万円以上で上限が1000ポイントになる。しかし、マネーブリッジおよびハッピープログラムの方は上限がないため、2000万円以上になっても還元されるポイントは10万円ごとに増えていく。
SBI証券で投資信託保有により受けられる還元
SBI証券では投資信託の「購入」における還元はない。しかし、投資信託の「保有」によって還元を受けれる。SBI証券では投信マイレージサービスポイントとして、投資信託の月間平均保有金額に対し、Tポイントの還元が受けられる。これはNISA口座で保有する投資信託も対象になっている。
受けれる還元率は投資信託によって異なり、
・通常銘柄:1000万円以下で年率0.1%、1000万円以上で年率0.2%
・指定銘柄Ⅰ:年率0.05%
・指定銘柄Ⅱ:年率0.03%
・指定銘柄Ⅲ:年率0.02%
・指定銘柄Ⅳ:年率0.01%
・投信マイレージの対象外商品:0%
にわかれている。Tポイントは毎月付与されるため、付与時には上記パーセント(年率)の12分の1になる。
投資信託ごとの還元率について詳しく知りたい人は下記ページを参考に。
人気投資信託は指定銘柄になっており、年率0.1%還元といった高還元は得られない。
また、以下の投資信託は投信マイレージの対象外となる。
・MMF、中国F、MRF
・外貨建MMF
・ETF、REIT
・外国籍投資信託
・その他当社が定めた銘柄
対象外とは還元を得られない投資信託になる。
投資信託において楽天証券とSBI証券どちらがおすすめか?
楽天カードによる決済で1%還元を受けれるため、月5万円以内の積み立てを行うなら楽天証券の方がおすすめである。1%還元なので、信託報酬の安い投資信託なら、信託報酬(手数料)の5、6年分を還元でまかなえる。
また、楽天証券で投資信託を保有すると10万円ごとに4ポイント、年率0.048%の還元を受けられる。
SBI証券において「楽天バンガードファンド」は年率0.03%の還元、楽天証券では年率0.048%の還元となっている。くわえて、楽天証券は楽天カードによる購入で1%還元を受けれる。楽天証券の楽天カード購入で得られる還元がSBI証券における保有で得られる年率0.03%還元の33.3倍(33.3年分)になる。楽天バンガードファンドで楽天証券並に還元を受けるのは難しいだろう。
人気投資信託で常に上位にある楽天バンガードファンドについて詳しくは下記記事を参考に。

上記ではETFと投資信託どちらを購入すべきか?についても詳しく説明している。
SBI証券だと人気のeMAXIS Slimシリーズは0.02%から0.05%の還元を受けられる。iFreeシリーズは0.05%還元となっている。楽天証券ではこららの人気シリーズも購入で1%還元、保有で年率0.048%還元である。したがって、楽天証券で購入・保有した方が良いだろう。
ただし、人気投資信託である「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」は楽天証券において現状取扱が無い。SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンドの購入をしたい場合はSBI証券、岡三オンライン証券、佐賀銀行、マネックス証券、auカブコム証券、SMBC日興証券のいずれかを利用しなければならない(2020年10月現在。SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド 月次レポートより)。
債券
楽天証券、SBI証券いずれも債券の取引手数料は無料になる。ただし、外国債券については為替コストがかかる。
為替コストは外国株式や海外ETFで紹介したのと同様である。
通貨 | SBI証券の為替コスト | 楽天証券の為替コスト |
---|---|---|
米ドル/日本円 | 25銭 | 25銭 |
ユーロ/日本円 | 80銭 | 50銭 |
英ポンド/日本円 | 取扱商品無し | 70銭 |
豪ドル/日本円 | 100銭 | 70銭 |
NZドル/日本円 | 100銭 | 70銭 |
カナダドル/日本円 | 80銭 | 80銭 |
南アランド/日本円 | 30銭 | 30銭 |
トルコリラ/日本円 | 150銭 | 150銭 |
メキシコペソ/日本円 | 30銭 | 30銭 |
ロシアルーブル/日本円 | 8銭 | 8銭 |
中国人民元/日本円 | 20銭 | 取扱商品無し |
香港ドル/日本円 | 15銭 | 香港株 15銭 上海株 20銭 |
韓国ウォン/日本円 | 20銭 (100ウォンあたり) | 取扱商品無し |
インドネシアルピア/日本円 | 0.03銭 | 0.03銭 |
シンガポールドル/日本円 | 83銭 | 83銭 |
タイバーツ/日本円 | 8銭 | 8銭 |
マレーシアリンギット/日本円 | 43銭 | 43銭 |
ベトナムドン/日本円 | 200銭 (1万ドンあたり) | 取扱商品無し |
2020年7月現在、債券を買えない国の為替コストも含む(site2.sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jp、rakuten-sec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
外貨建債券は日本国内の債券に比べて高金利を受けられる一方で、為替の変動によるリスクもある。為替変動では円安になれば償還金が増える。一方で円高になると償還金が減ってしまう。金利が得られるにもかかわらず、円高になると、元本割れを起こす可能性もでてくる。
楽天証券とSBI証券における債券取引は為替コストの他に取引商品数でも違いがある。各証券会社で扱いのある債券については下記ページを参考に。

債券へ投資するETF
債券を買いたい場合、債券へ投資するETFを買う選択肢もある。債券へ投資するETFとしてはAGGが有名である。
AGGは元金や利子の支払いが確実と見込まれる米国債券へ投資するETFである。アメリカ政府・地方自治体債や政府機関モーゲージなど、信用評価としてAAA(ムーディーズの信用格付け)の債券で7割以上を構成している。AGGはアメリカのドル建て債券ETFとしてシェア1位にもなっている。
2015年10月から2020年10月までの5年間におけるAGG価格推移(アメリカドル)。iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETFより。
総経費率が年0.04%に対し、直近の配当利回りは年2.7%。高い利回りを期待でき、新型コロナウイルスが流行した後も価格は下がっていない。
ETFの性質からいつでも売却できるため、このETFを債券としてポートフォリオへ含めている投資家も多い。
AGGは楽天証券およびSBI証券で購入できる。米国ETFなのでNISA口座での購入もできる。
金・銀・プラチナ
金・銀・プラチナといった貴金属は安全資産として不況時に価格の下がりづらい資産となっている。資産を増やす目的で保有するよりも、リスク分散の手段として利用すべきだ。楽天証券、SBI証券では金・銀・プラチナの購入ができる。
手数料についてまとめると下記のようになる。
金・銀・プラチナ | SBI証券 | 楽天証券 |
---|---|---|
手数料 | 買付手数料 2.2%(税込) 売却手数料 無料 | 買付手数料 1.65%(税込) 売却手数料 無料 |
スプレット | 金 80円 プラチナ 145円 銀 4円 | 金 78円 プラチナ 125円 銀 3.9円 |
年会費 | 無料 | 無料 |
保管料 | 無料 | 無料 |
2020年10月現在(sbisec.co.jp、rakuten-sec.co.jpより)
買付手数料は楽天証券で税込1.65%、SBI証券で税込2.2%になる。
スプレットは売買で生じる価格差であり、金額が小さい方が手数料としては安くなる。楽天証券のスプレットは金・銀・プラチナの主要取扱会社の中で最狭水準となっている。
手数料で判断するなら、楽天証券を利用した方が良いだろう。
SBI証券の楽天証券に無い特徴としてはネットで積み立てた金、銀、プラチナを現物転換請求できる点にある。現物転換請求とはその名の通り、ネット上の数字から金、銀、プラチナの現物へ変換できるサービスである。変換された現物は保管庫から自宅へ配送してもらえる。
金は1kg以上、プラチナは1oz(約32g)以上、銀は100oz(約3.2kg)以上積み立てると現物転換請求が可能になる。もちろん、盗難などのリスクはあるため、万人にすすめられるわけではない。
現物転換にかかる費用から申し込み方法について詳しくは下記記事を参考に。
ゴールドの国際価格と連動するETF
ゴールドへの投資としては直接ゴールドを購入するのではなく、ゴールドの国際価格と連動対象としているETFへ投資する手段もある。
資産総額が約4.3兆円で世界最大のゴールドETFとしてSPDRゴールドシェアがある。米国だけでなく、メキシコ、香港、シンガポール、そして、日本の東証にも上場している。米国・NYSEアーカでのティッカーはGLD、東証の証券コードは1326である。SPDRゴールド シェアも楽天証券およびSBI証券で購入できる。
SPDRゴールド シェアの総経費率は0.4%である。上でも述べたようにNISA口座では手数料も抑えられる。
東証で買えば円建てで1単元15000円程度から購入できるため、金への投資ならETFもおすすめである。
2015年10月から2020年10月までの5年間におけるGLD価格推移(アメリカドル)。チャートおよびデータ > 日本 > SPDR Gold Shares (GLD)より。
SPDRゴールド シェアは保有するだけで毎年0.4%の手数料を取られる(総経費)。金・銀・プラチナを直接購入する場合、買付手数料はかかるものの、総経費など保有でのコストはかからない。どちらが良いかは好みの問題になるだろう。
iDeCo
iDeCoについても楽天証券およびSBI証券は業界最安値圏の手数料で利用できる。楽天証券もSBI証券も手数料としてはそこまで大きな違いはない。この2つならどちらを利用しても良いだろう。
iDeCoにおける主要手数料をまとめると下記のようになる。
金・銀・プラチナ | 楽天証券 | SBI証券 |
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加入時・移換時の手数料 | 2829円 | 2829円 |
口座管理の手数料 (掛金を拠出している場合) | 月171円 | 月171円 |
給付事務手数料 | 1回につき440円 | 1回につき440円 |
還付事務手数料 | 1488円 | 2148円 |
site0.sbisec.co.jp、dc.rakuten-sec.co.jpより
iDeCoへ加入する際、移転する際に払う手数料は2829円と楽天証券、SBI証券で違いはない。
毎月支払う手数料は投資先商品への信託報酬と口座管理手数料のみである。信託報酬は購入する投資信託によって異なる。口座管理手数料は楽天証券、SBI証券ともに171円になる。
給付を受ける際の手数料はSBI証券、楽天証券ともに1回につき440円になる。
還付事務手数料は限度額を越えて拠出された掛金、あるいは加入資格のない月に拠出された掛金などを還付する際に取られる手数料となる。還付事務手数料は楽天証券が1488円、SBI証券が2148円になる。楽天証券の方が660円ほど安くなっている。
iDeCoで楽天バンガードファンドが買える
楽天証券ではiDeCoで人気投資信託の「楽天バンガードファンド」が買える。
楽天バンガードファンドはVTIへ投資する投資信託になる。「VTI」は大型株、中型株だけでなく、小型株を含めて広くアメリカ株式市場へ投資し、アメリカ株式市場の成長がそのまま利益になるETFである。
楽天バンガードファンドと比較される「SBIバンガードS&P500」は楽天証券およびSBI証券のiDeCoでの購入ができない(2020年10月現在)。
バンガードファンドをiDeCoで運用できる点でも楽天証券がおすすめである。
楽天証券とSBI証券の賢い使い分け方法まとめ
証券会社に口座を複数持っていると管理が面倒にはなる。しかし、複数の証券口座を開設しても余分にお金を取られるわけではない。したがって、他にはないメリットのある証券会社複数に口座を開設しておき、投資目的によって分けて使えば良いだろう。
日本株の購入ならプロのトレーダーだったり、1日100万円を越える投資をしない限り、どちらを利用しても変わりはない。投資信託や金・銀・プラチナ、iDeCoなら楽天証券、外国株式や海外ETF、外国債券を中心に投資したいならSBI証券の利用が手数料などの点でおすすめである。
日本でメジャーな金融商品へ投資するなら、NISA口座、iDeCoも開設できる楽天証券とSBI証券だけで十分である。
>>> 【投資信託、金・銀・プラチナの購入、iDeCoでおすすめ】楽天証券
>>> 【外国株式や海外ETF、外国債券の購入でおすすめ】SBI証券
上でも述べたように、NISA口座は1社にしか開設できない。利用しやすい証券会社でNISA口座開設の申し込みをすべきだ。楽天証券およびSBI証券におけるNISA口座の生かし方について詳しく知りたい人は下記記事を参考に。
