楽天は株主優待として、2019年12月26日の取引終了時点で100株(1単元)以上を保有する人に
1.楽天キャッシュ(500円分から2500円分)
2.楽天トラベルの国内宿泊で使えるクーポン(総額2000円相当)
を配布している。

また、同じく年末の取引終了時点で株式を保有している人に対して
3.1株あたり4.5円
の配当が配られた。
つまり、直近では楽天株を100株保有している人に楽天キャッシュ500円+楽天トラベルのクーポン2000円相当+配当450円を配っている。
楽天キャッシュや楽天トラベルのクーポンも利用しやすく、現金に近い性質になっている。株の将来性株主を考慮せず、広い意味での配当利回りだけを見れば悪くない銘柄と言えるだろう。
この記事では
▶ 楽天の株主優待
について最新の情報を詳しく紹介するとともに
▶ 2019年楽天の配当と今までの配当実績
▶ 楽天株の優待と今後の増配
も述べていきたいと思う。
楽天の株主優待
現在、楽天株を100株(1単元)以上を保有している株主は株主優待として、
・楽天キャッシュ(総額500円以上)
・楽天トラベルの国内宿泊で使えるクーポン(総額2000円相当)
がもらえる。
楽天株100株は現在価格(2020年9月)ベースで11万8100円となっている。
楽天は毎年年末に権利付最終日を設定している。2019年の権利付最終日は12月26日だった。権利付最終日の取引終了時点で株を保有していることを条件に、株主優待が付与される。翌27日は権利落ち日であり、株価も下落する。
下記では株主優待の詳細と株主優待を受け取る方法を紹介していく。
楽天キャッシュ
株主優待でもらえる楽天キャッシュは「保有株式数」と「保有期間が5年以上」かどうかで金額が変わってくる。
保有期間や保有株式数について、下記のような定義が記載されている。
・継続5年以上保有の対象者とは、2014年12月31日の当社株主名簿を計算の起点とし、株主名簿確定基準日(6月30日および12月31日)の当社株主名簿に、同一株主番号で連続11回以上記載または記録された株主様となります。
・相続や株主名簿からの除籍等により株主番号が変更になった場合、保有株式をすべて売却するなどして株主名簿に記載されていない期間がある場合は、その直後の基準日から起算といたします。
・保有株式数は、2019年12月31日を基準とし、途中の基準日の保有株式数については考慮いたしません。
つまり、2019年時点の5年以上とは2014年12月31日以前に、株主としての権利が確定している人になる。2014年12月30日に楽天株を保有していた人は5年以上の保有にあてはまる。
相続や除籍により株主番号が変わった人、株主名簿に記載されていない期間がある場合は、その直後の基準日から起算される。記載されていない期間の前からは起算されない。
また、保有株式数は2019年12月31日が基準になる。たとえば、その前日まで5年間100株しか保有していなくとも、その日にだけ1万株を保有すれば2500円分の楽天キャッシュが付与される。
楽天キャッシュをもらうには?
2019年の権利付最終日に楽天株を持っていた権利者には2020年3月中に「株主優待に関するご案内」が送られてくる。「株主優待に関するご案内」にはID・パスワードの通知(通知書)が同封されており、株主専用サイトにて楽天キャッシュ付与のお申込みができる。

ただし、申し込み期間は申込受付開始より3カ月間、2020年3月上旬~2020年6月中旬までとなっている。この期間に申込をしないと、楽天キャッシュはもらえない。
楽天キャッシュは申込締切後、1ヶ月程度で付与される。
ちなみに、楽天キャッシュは楽天市場はもちろん、楽天モバイルや楽天でんきといった通信費、電気代、楽天Payを通した店舗での決済にも利用できる。楽天Payを通して他者への送金もできる。利用範囲は広く、現金と非常によく似た性質のポイントである。
楽天キャッシュについて詳しく知りたい人は下記記事も参考に。

楽天トラベルの国内宿泊で使えるクーポン(総額2000円相当)
株主優待でもらえる楽天トラベルの国内宿泊で使えるクーポンは
・2名以上の国内宿泊で使える2000円割引クーポン1枚
もしくは
・1名の国内宿泊で使える1000円割引クーポン1枚(2回まで利用可能)
がもらえる。
いずれも合計2000円ずつの割引を受けれる。
2019年度のクーポン申し込み期間は
①2020年3月12日から2020年4月15日
②2020年4月16日から2020年6月15日
だった。
①の期間に申し込むと5月1日にクーポンが発行される。こちらのクーポンは7月31日の予約まで有効で、10月31日までに利用(宿泊)しなければならない。たとえば、6月30日に予約をしても、宿泊日が11月1日では利用できない。
②の期間に申し込むと7月1日にクーポンが発行される。こちらのクーポンは9月30日の予約まで有効で、10月31日までに利用しなければならない。つまり、②の期間に申し込んだクーポンは発行から4ヶ月以内の宿泊を求められる。
クーポンの申し込みは下記ページからできる(2020年6月15日まで利用可能)。

廃止された2018年までの株主優待
stockbenefit.corp.rakuten.co.jp
去年2018年の株主優待を紹介すると
1.楽天市場クーポン(500円から)⇒2019年楽天キャッシュへ変更
2.楽天トラベル 国内宿泊クーポン(総額2000円相当)⇒2019年も継続
3.楽天Kobo対象期間中の電子書籍コンテンツ購入に対し、ポイント3倍⇒2019年から廃止
4.楽天イーグルス主催公式戦観戦チケットを優待価格で購入できる+楽天イーグルスグッズを抽選でプレゼント⇒2019年から廃止
5.ヴィッセル神戸主催公式戦観戦チケットを優待価格で購入できる+ヴィッセル神戸グッズを抽選でプレゼント⇒2019年から廃止
6.楽天証券にて楽天株を保有している株主には、楽天株購入手数料のうち30%ポイント還元⇒2019年から廃止
以上のようになる。
楽天市場で使えるクーポンから楽天キャッシュへの変更は付与金額の上限が上がり(2000円分のクーポンから2500円分の楽天キャッシュ)使える範囲も広がったためプラスになる。しかし、廃止された優待も多く、全体としては改悪となるだろう。
2020年の配当と過去の配当実績
株主優待と同じく2019年12月26日の取引終了時点で株式を保有している人に対しては
・1株あたり4.5円
の配当も配られた。最低単元の100株を保有している人なら450円もらえる計算となる(ただし、NISA口座でない人は20.42%の税金がかかる)。
楽天は2003年から配当を配っており、株式分割補正を考慮すれば、1株あたりの配当金額は下がったことがない。
一株当たり配当金 (年間) | 一株当たり配当金 (株式分割補正後) | |
---|---|---|
2020年(予定) | 4.5円 | 4.5円 |
2019年 | 4.5円 | 4.5円 |
2018年 | 4.5円 | 4.5円 |
2017年 | 4.5円 | 4.5円 |
2016年 | 4.5円 | 4.5円 |
2015年 | 4.5円 | 4.5円 |
2014年 | 4.5円 | 4.5円 |
2013年 | 4.0円(うち記念配当が1.0円) | 4.0円(うち記念配当が1.0円) |
2012年 | 3.0円 | 3.0円 |
2011年 | 250円 | 2.5円 |
2010年 | 200円 | 2.0円 |
2009年 | 100円 | 1.0円 |
2008年 | 100円 | 1.0円 |
2007年 | 100円 | 1.0円 |
2006年 | 50円 | 0.5円 |
2005年 | 50円 | 0.5円 |
2004年 | 250円 | 0.25円 |
2003年 | 250円 | 0.25円 |
corp.rakuten.co.jpより。楽天は2012年に1株を100株に分割している。
直近では2020年2月13日開催の取締役会にて、去年と同じ1株あたり4.5円の配当が決定された。
楽天株の配当利回り
楽天株の現在価格1181円(2020年9月)で見ると、配当利回りは0.38%となる。
保有期間が5年未満でも楽天株を100株を保有すれば500円分の楽天キャッシュと2000円分の楽天トラベルクーポンがもらえる。
配当金に楽天キャッシュと合わせると、100株保有で0.80%になる。さらに2000円分の楽天トラベルクーポンを含めれば2.50%になる。
保有期間が5年以上になると楽天キャッシュの額が100株で1000円分になる。5年以上100株保有している人は配当金、楽天キャッシュ、楽天トラベルクーポンを合わせて2.92%の配当利回りになる。
楽天株の優待と今後の増配について
2014年までは上昇傾向にあった配当も、2015年以降は前年維持となり、減速している。
配当金を増やせない理由として、近年では携帯キャリアへの参入があげられるだろう。この事業で安定するまでは大規模な投資が必要であり、利益も圧迫する。したがって、配当や株主優待だけでなく株価の伸びも期待できない。
ただ、2020年から、楽天回線を利用した楽天モバイルのサービスは始まっている。

携帯キャリア事業は事業として安定すると、莫大な利益を毎年生み出してくれる。これはドコモ、au、ソフトバンク(SB)の1兆円近い利益額を見てもわかるだろう。早ければ2021年中にも利益が出てくるため、数字が良ければ株価や配当にも反映されていくはずだ。
楽天に限らず、配当と優待「だけ」を見て株式の購入をするのはおすすめできない。特に、金銭的なメリットを得たいなら、配当や株主優待だけでなく、株の将来性も考えるべきだ。配当や優待を得る目的で購入したのに、売却時にそれ以上の損をしたら本末転倒だろう。
株式購入のタイミングは「利益が得られる」と判断した時である。楽天経済圏で生活している人でも、楽天株は「常に」保有しておく必要はない。証券口座開設だけしておき、割安であると判断したタイミングで購入すべきだ。

もちろん、株式購入ではNISA口座を優先して利用した方が良いだろう。