楽天 全米株式インデックス ファンド(愛称:楽天バンガードファンド)は「バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)」へ投資する投資信託である。楽天バンガードファンドは楽天証券やSBI証券をはじめ、多数の金融機関で購入ができる。楽天バンガードファンドを購入できる金融機関の一覧については楽天・全米株式インデックス・ファンド月次レポートの6ページ目を参考に。
日本の証券会社では投資信託の楽天バンガードファンドだけでなく、ETFのバンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)も購入できる。
「VTI」は大型株、中型株だけでなく、小型株を含めて広く米国株式市場へ投資するETF(上場投資信託)である。VTIにはNYダウやS&P500が含まない小型株も含み、米国株式時価総額の約100%をカバーしている。
楽天バンガードファンドを含む投資信託を楽天証券で買うとクレジットカードによる購入で1%還元を受けれるからである。これは信託報酬税込年0.162%の約6.2年分にあたる。つまり、保有年数が6.2年以下なら、支払う手数料よりも受ける還元の方が高くなる。
また、楽天証券では投資信託の残高10万円ごとに毎月4ポイント(年利0.048%)もらえるプログラムも提供されている。ただでさえ安い信託報酬を実質的にさらに抑えられるだろう。
この記事では
▶ 楽天バンガードファンドをお得に買う方法
から楽天バンガードファンドの投資先である
▶ バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)を安く買う方法
▶ 投資信託の「楽天バンガードファンド」とETFの「VTI」どっちを買うのがお得か?
まで詳しく述べていきたいと思う。
楽天バンガードファンドをお得に買う方法
楽天バンガードファンドはノーロードと呼ばれる取引手数料無料の投資信託である。信託報酬も毎年減少傾向にあり、2020年11月現在税込年0.162%にまで下がっている(楽天証券-楽天・全米株式インデックス・ファンドより)。つまり、10万円分購入しても、1年後までのトータルの手数料でわずか162円となる。信託報酬は1年間でかかる手数料の合計で、毎日計上されている。
また、楽天証券では月5万円、年間60万円まで楽天カード(クレジットカード)で投資信託の購入ができる。クレジットカードで買うと1%還元を受けれるため、毎月5万円までの購入なら、信託報酬の約6.2年分が無料になることを意味する。
>>> 【新規入会でポイント還元を受けれるリンク】楽天カード
くわえて、楽天銀行との口座連携サービス「マネーブリッジ」および「楽天銀行ハッピープログラム」へ登録することで、投資信託の残高(保有)10万円ごとに毎月4ポイントもらえるプログラムが提供されている(ポイントをためる | 投信積立 | 投資信託 | 楽天証券より)。1000万円分の投資信託を持っていれば毎月400ポイント貰える。年利にすると0.048%だ。
クレジットカードで投資信託の購入ができる証券会社には、楽天証券(楽天カード)の他に、セゾンポケット(セゾンカード・UCカード)などもある。しかし、楽天証券に比べても還元率は低くなっている。セゾンポケットの場合、5000円に対して永久不滅ポイント1ポイントしか付与されない。したがって、楽天バンガードファンドを買うのも楽天証券が良いだろう。
>>> 【クレジットカードで投資信託の購入ができる】楽天証券口座開設リンク【投資信託の保有でポイントが貯まる】
楽天証券で使える「楽天ポイント」と「楽天カード」
楽天証券ではクレジットカードの他、楽天ポイント(正式名称:楽天スーパーポイント)でも、1ポイント1円として投資信託の購入ができる。楽天における還元率を上げたいなら月1回500ポイントは楽天証券における投資信託の購入に使った方が良い。楽天証券では月1回500円分以上の投資信託を楽天ポイントで購入すると、楽天市場、楽天kobo・楽天ブックス、楽天ふるさと納税などにおける還元率がSPUにより1%アップする。SPUについて詳しく知りたい人は下記記事を参考に。

しかし、500ポイント以上の楽天ポイントは使うべきではない。500ポイント以上なら投資信託購入上限(5万円)までは楽天カードで投資信託を購入すべきだ。
楽天ポイントを消費する投資信託の購入方法として下記2通りの方法がある。
①楽天ポイントで投資信託の購入
②楽天カードで投資信託の購入⇒楽天カード請求分を楽天ポイントで支払い
上記ともに楽天ポイントと投資信託が交換された形になる。しかし、②は投資信託だけでなく、楽天カード分の1%還元を受け取れる。
1万円分の投資信託を購入したケースで考えると
①1万ポイントが減って、1万円分の投資信託が残る
②1万ポイントが減って、1万円分の投資信託が残り、楽天ポイント100ポイントが還元される
上記の②を選択すれば購入金額の1%還元を受けれる。したがって、楽天カード保有者が楽天ポイントを使うなら①よりも②の方法を用いるべきだ。
楽天カードを持っていない人は早めに申し込みをしよう。年会費無料で、フリーターや主婦でも審査に通りやすいカードになっている。
>>> 【クレジットカードで投資信託の購入ができる】楽天証券口座開設リンク【投資信託の保有でポイントが貯まる】
投資信託に限らず、楽天カードの支払に楽天ポイントを利用すれば1ポイント1円以上、正確には1ポイント=1.01円の価値にできる。楽天カード保有者なら、楽天ポイントはカード請求代金への利用を優先するのがおすすめである。
楽天カードは毎月12日から24日まで(2020年11月現在)スーパーポイント支払の設定が可能となっている。
楽天e-NAVIトップページの「お支払い関連サービス>ポイントで支払い」にて、請求代金から楽天ポイント分を支払設定する。
ポイント支払いの設定画面。楽天の通常ポイントが1ポイント=1円として支払に利用できる。1回あたりの利用可能数は50ポイント以上になる。
バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)を安く買う方法
楽天バンガードファンドはバンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)への投資が主になっている。為替差損益や若干の違いは出るもののVTIとほぼ連動している。つまり、商品の内容として楽天バンガードファンドとVTIはほぼ同じである。
取引手数料や保有によって生じる手数料は楽天バンガードファンド(投資信託)とVTI(ETF)で異なっている。
また、証券会社による違いとしては為替コストおよび取引手数料がある。
下記ではETFの売買、保有で生じる手数料とVTIを安く買える証券会社を紹介していく。
ETFの取引、保有で生じる手数料
VTI(ETF)の売買・保有にかかる手数料には
1.為替コスト
2.取引手数料
3.総経費率(エクスペンスレシオ)
がある。
為替コスト
VTIはアメリカのETFであり、ドル建てになる。したがって、まずは日本円から米ドルへの両替が必要になる。この日本円からドルへの両替でかかる手数料が為替コストになる。為替コストは証券会社(銀行)によって異なる。
為替コストで見ると、住信SBIネット銀行およびそれに対応するSBI証券がもっとも低く抑えられる(後述する)。
取引手数料
ETFを売買する際には取引手数料がかかる。取引手数料も証券会社によって異なる。
人気証券会社のSBI証券、楽天証券、マネックス証券いずれもネット上の注文なら約定代金の0.495%(税込)になっている(上限手数料は税込22ドル)。また、ETFの買付手数料はNISA口座を利用すれば無料にできる。ただし、NISA口座でも、売却時には0.495%(税込)、上限22ドル(税込)の手数料を取られる。
NISA口座について、ETFは外国株式と同じ分類であり、つみたてNISA口座ではなく、(一般)NISA口座でしか購入できない点は注意すべきだ。
総経費率(エクスペンスレシオ)
総経費率(エクスペンスレシオ)は1年間でかかる経費の総額であり、毎日少しずつ回収される。投資信託の信託報酬と似た性質のものである。
バンガード トータル ストック マーケットETFの総経費率はわずか年0.03%になっている(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)より)。1万ドル分を1年間保有すると、3ドル取られる計算になる。保有でかかる手数料については投資信託の楽天バンガードファンドよりも安くなる。
VTIが安く買える証券会社は?
どの証券会社を利用しても総経費率は年0.03%と変わりはない。また、買付手数料もNISA口座を利用すれば無料にできる。したがて、差が付くのは売却手数料と日本円から米国ドルへと両替する際の為替コストだろう。
上でも述べたように、手数料の安さを競っているSBI証券、楽天証券、マネックス証券いずれもネット上の注文なら約定代金の0.495%(税込)が取引手数料になっている。手数料には上限もあり、高額な取引をしても税込22ドルまでしか増えない。たとえば、1万ドル分のETFを売却すれば約定代金の0.495%が手数料になるため、49.5ドルかかるはずである。しかし、22ドルが限度額となっているため、22ドルまでしか請求されない。
為替コストで見ると、頻繁に米ドルの買付手数料無料キャンペーンが行われている住信SBIネット銀行およびそれに対応するSBI証券がもっとも安くなる。
SBI証券へ入金した日本円で海外ETFを購入する場合、アメリカのETFなら1ドルあたり25銭(0.25円)の為替コストがかかる。「SBI証券」だけでなく、「楽天証券」「マネックス証券」いずれも為替コストは25銭である(2020年10月現在)。
また、住信SBIネット銀行でも米ドルの購入ができる。住信SBIネット銀行の為替コストは1ドルあたり4銭(0.04円)、頻繁に開催されているキャンペーン中なら0円になる。
住信SBIネット銀行で頻繁に開催されている買付手数料0円、全9通貨買付手数料無料キャンペーン(netbk.co.jpより)。
住信SBIネット銀行で買い付けた米ドルはSBI証券へと入金し、それを元手にVTIの購入ができる。
SBI証券の外貨入金手続き。SBI証券ホームページの右上の「入出金・振替>外貨入金」で住信SBIネット銀行で購入した外貨をSBI証券へ移動できる。
住信SBIネット銀行の米ドル買付手数料0円キャンペーン時にドルを購入し、NISA口座でVTIを買えば、購入、保有における手数料は総経費率のみの年0.03%にまで抑えられる。ETFを買うならSBI証券と住信SBIネット銀行を利用するのが正解になるだろう。
外貨の購入方法を含む、住信SBIネット銀行を賢く使いたい人は下記記事も参考に。

投資信託の「楽天バンガードファンド」とETFの「VTI」どっちを買うのがお得か?
楽天バンガードファンドはVTIへ投資する投資信託なので、楽天バンガードファンドとVTIのパフォーマンスは変わらない。
楽天バンガードファンドとVTIの基本的な違いをまとめると下記のようになる。
楽天 全米株式インデックス ファンド (愛称:楽天バンガードファンド) | バンガード トータル ストック マーケットETF (VTI) | |
---|---|---|
商品の種類 | 投資信託 | 米国ETF (上場投資信託) |
投資成果の目標 | バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI)への投資 | アメリカのETFで米国株式市場に上場する大・中・小型株式、約4000銘柄から構成される時価総額加重平均型の株価指数に連動を目標に投資 |
通貨 | 日本円(円建て) | 米ドル(ドル建て) |
分配金 | 実績無し | 2020年まで毎年4回配られている |
最低購入額 | 100円から1円単位で購入できる | 1株単位で購入できる。2020年11月現在は1株179.26ドル |
投資信託の楽天バンガードファンドは日本円で購入できるため、為替コストはかからない。ただし、元が米国株なので、為替レートによっても日本円での評価額は変わる。たとえば、円安・ドル高になると、VTIの価格が上がらなくても日本円での評価額は上がる(逆に円高になると評価額は下がる)。
VTIは毎年4回分配金を配っている。2016年から2020年10月までのVTI1株あたり分配金実績をまとめると下記のようになる。
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
---|---|---|---|---|---|
VTIの分配金 | 2.215ドル | 2.343ドル | 2.6046ドル | 2.9047ドル | 1.9876ドル |
VTIの2020年10月現在の価格は1株179.26ドル。2016年から2019年は4回分の合計。2020年は10月(3回分)までの合計金額になる。分配金の利回りは毎年1%から2%の間になる。
VTIに対し、楽天バンガードファンドは分配金を配った実績がない。現在、楽天バンガードファンドは投資先であるVTIから得た分配金を再投資に回している。分配金は投資信託の価格に上乗せされるため、含み益が出ても売却するまで課税されない。VTIでは含み損が出てる場合でも、分配金には税金が課せられてしまう。分配金に課税され、売却で損するといったケースがVTIでは生じてしまうのだ。
不労所得に憧れている人には分配金目的で投資をする人もいるだろう。しかし、分配金は受け取らず、再投資に回してくれた方がメリットは大きいのだ。
投資信託の楽天バンガードファンドは100円以上1円単位で購入できる。100円から購入できる投資信託と違い、VTIは1株単位での購入になる(2020年11月現在の価格は1株179.26ドル)。
楽天バンガードファンドとVTIの手数料
楽天証券における楽天バンガードの購入・保有、VTIは為替コストの安いSBI証券で購入・保有した場合で手数料と還元を比較すると下記のようになる。
楽天バンガードファンド (楽天証券で購入・保有) | バンガード トータル ストック マーケットETF(VTI) (SBI証券で購入・保有) | |
---|---|---|
取引手数料 | 0(無料) | 0.495%(税込)、上限手数料は税込22ドル(税込)(NISA口座では買付手数料のみ0) |
為替コスト | 0(無料。円建て) | 1ドルあたり0.25円から(住信SBIネット銀行なら0.04円から) |
信託報酬 (総経費率) | 年0.162% | 年0.03% |
信託財産留保額 (解約手数料、売却手数料) | 0(無料) | 0.495%(税込)、上限手数料は税込22ドル(税込)(NISA口座でも解約(売却)時は手数料がかかる) |
購入や保有で受けれる還元 | 楽天カードによる購入で1%還元 + 投資信託10万円ごとに毎月4ポイント還元(年利0.048%) | 無し |
2020年10月現在
楽天バンガードファンド(投資信託)を楽天カードで購入すれば1%の還元を受けられる。これは信託報酬の約6.2年分にあたり、それ以下の年数なら手数料よりも還元されるポイントの方が大きくなる。ただし、楽天カードによる投資信託の購入は毎月5万円以内になっている。
また、楽天証券では保有する投資信託10万円ごとに毎月4ポイント還元、年利0.048%を受けれる。この還元分を引くと、楽天バンガードファンドの実質信託報酬は0.114%になる。
VTIは保有でかかる総経費率が0.03%と安い。しかし、楽天証券で楽天バンガードファンドを購入すれば信託報酬とVTIの総経費率との差はわずか0.084%になる。
米国株のパフォーマンスを見れば、年間0.084%程度の手数料の差は大した影響にはならない。むしろ、ETFの売買時に生じる手数料、為替コスト、税金の方がネックになるだろう。
NISA口座の利用
投資信託である楽天バンガードファンドはもちろん、ドル建て米国ETFであるVTIもNISA口座で購入できる。利益に課税される税額は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%なので、手数料よりも高くなるだろう。
楽天バンガードファンドは投資信託なので、(一般)NISA、つみたてNISA口座で購入できる。つみたてNISA口座は毎年40万円まで20年間、最大800万円まで非課税になる。楽天証券のNISA口座でも、楽天カードによる購入および還元は受けれる。
VTIは外国株式に分類され、(一般)NISA口座にて購入ができる。つみたてNISA口座ではVTIの購入ができない。NISA口座は毎年120万円まで5年間、最大600万円が非課税となる。
楽天証券のつみたてNISAなら、短期では還元によって手数料を相殺でき、長期では非課税額も大きくなる。楽天バンガードファンド(投資信託)の方が多くのケースで有利になるだろう。
米ドルの買い付けといった手続きも必要ないため、投資初心者にも楽天バンガードファンドの方がおすすめである。楽天証券のNISA口座を最大限に生かす使い方についてさらに詳しく知りたい人は下記記事を参考に。

アメリカの株式市場に上場している銘柄のうち代表的な500銘柄(大型株)へのみ投資しているETFとしてVOO(バンガード・S&P500 ETF)がある。
2020年10月時点で見た過去1年間のパフォーマンスで比べると、楽天バンガードファンドが投資するVTIのリターンが12.48%だったのに対し、VOOは12.64%だった(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF、バンガード・S&P500 ETFより)。VOOのパフォーマンスがVTIより良かったのはここ1年間、小型株、中型株から大型株へと資金が流れたからだろう。
VOOへ投資する日本の投資信託として「SBI バンガード S&P500」がある。SBI バンガード S&P500について興味のある人は下記記事も参考に。
